当社は、親会社であるSMBC日興証券をはじめ、地方銀行などの金融機関向けに、証券事務サービスを提供しています。その業務は、口座開設や移管、有価証券の売買に伴う決済、口座管理、資産相続・贈与等と幅広い上、お客様の大切な「資産」に関わるものばかりで、決して間違いは許されません。

中でも、アテナさんにお任せしている「法定帳票などをお客様に送付する発送業務」は、金融機関にとっては個々のお客様と直接向き合う重要な接点であり、高品質、且つ迅速に、正確な対応が求められる業務です。しかも、実際に行う作業は機械だけではなく、人の手によるところも大きく、高機能な設備や物流システムに加え、豊富な経験と専門知識を持つ人材を擁するアテナさんは、当社が目指す「事務品質、お客様満足度、従業員満足度の業界No.1」達成のために、欠かすことのできない大切なパートナーです。

このようなアテナさんとのお取引は、2009年9月から始まりました。

取引が始まる前は、当社でも自前で発送業務を行う部署を持ち、実際、オフィスの一角に発送作業をするための設備が設置されていました。また、設備だけでなく、作業のために相当数の社員を配置していたのです。余談ですが、私が入社した1980年代半ばは、日興証券の各支店に同様の部署があり、総務課員を数十人抱えていました。各支店の業務を効率化するため設立されたのが、当社だったのです。

しかし、その後の日本ではご存じの通り、少子高齢化が急速に進行したことで、省人化のためのさらなる業務効率化が求められるようになりました。当社でも、発送業務に関しては自前でやり続けるよりも、コストや業務遂行能力、フレキシビリティの面で優れているアテナさんにお願いすることが得策だと判断し、このパートナーシップが実現しました。併せて、ただお任せするのではなく、アテナさんの本社内に当社の拠点を設けるなど、協業体制も構築してきました。

その結果、当社の発送業務が格段に強化されただけでなく、発送作業を担当する人員を確保する必要がなくなると同時に、それまで作業を担当していた社員には、より専門性の高い新たな活躍の場を提供することができました。また、設備が置かれていたスペースも有効活用できるなど、いくつもの相乗効果を得ることができました。

当社にとってアテナさんは、すでに社内の一事業部門のような存在として切っても切れない関係になっているのです。

アテナさんにお願している「発送業務」は、金融知識とフレキシビリティが求められる難しい作業です。

なぜなら、個人のお客様が金融商品を取引された際に生じる帳票類、例えば、株式、社債、投資信託などを購入する場合に発行する目論見書は金融商品取引法に定められた重要な書面であるのと同時に、お客様の取引に際し、事前に交付される書面のため、発送作業が発生する時期や数量を前もって予想しにくいという特性があるからです。

こんなエピソードを伝え聞きました。

私が社長に就くずいぶん前のことですが、ある会社の新規上場（以下、IPO）を日興証券が担当した時のことです。大企業だったその会社の人気は非常に高く、IPOを前にして、投資家の間では大きな話題となっていました。

実は、先の目論見書は、営業店やお客様より依頼がある次の日には発送し、申込みが行われる前にお客様に交付しなくてはならないというルールがあり、このような超大型案件の場合、事前にその目論見書の発送数量を想定することは難しく、発送業務を受託してくれる業者を見つけるのは至難の業です。しかし、アテナさんは快く引き受けてくださり、スピーディーに、そしてミスなく作業は終了しました。社内では未だに「あの時は、非常に助かった」と語り継がれているほどです。

現在、SMBC日興証券だけでも口座数は300万件以上あり、それに、地方銀行に口座をお持ちの方の人数も加えれば、その発送業務は膨大です。アテナさんでは、通常の人員に加えて、フレキシブルに対応できる体制が整えられており、他の業者では無理だという案件も実現可能にしています。

実は、アテナさんも最初から金融に関する専門知識を持っていたわけではありません。

金融は日々刻々と状況が変わる、生き物のような業界です。発送物も、大量に発生する日もあれば、少量であっても多品種の発送物が発生する日もあります。

そんな状況のもと、アテナさんは教科書的に知識を詰め込むのではなく、当社とともに長い年月を歩み続けながら、「この書類はどのようなものなのか」「送ることにどのような意味があるのか」など、発送物や作業工程一つひとつの意味と本質を理解しながら、真摯に金融を学び、経験を積み重ねてくれました。今では、当社と同じ意識を持って業務に取り組んでくれており、信頼関係も一段と強固なものとなっています。

加えて、発送業務を行う際に必要となる個人情報は、個人情報保護法においてその適正な取扱が規定されています。この大切な個人データの取扱いに関しても、特化した専門性と蓄積された経験を兼ね備えたアテナさんだからこそ、お任せできると感じています。

「人生100年時代」と言われるようになった今、証券投資は重要な資産運用のひとつであり、日本と企業の経済成長を支える社会貢献です。当社は、投資家の皆さんをはじめ、金融に携わる人々や企業に安心を与え、力強く支え続けていく存在であり続けたいと思っています。そのためには、引き続きアテナさんの力添えが必要と考えています。これからもよろしくお願いいたします。

昨今、政府主導で「働き方改革」が進められています。
現在、当社でも様々な分野でロボティック・プロセス・オートメーション（RPA）を活用したデジタル化を図り、金融の高度化やIT化、社員の働きやすい環境を整えるために取り組んでいます。デジタル化が進めば、より高品質でミスのないサービスが提供できるようになるでしょう。
アテナさんでも、DMを発送するメーリングサービスのほかに、販促資材物流や通販物流など年間500万個の荷物を配送する物流機能やコールセンターサポート機能、そして、デジタル・テクノロジーを用いて新たな価値を創造する事業も手掛けていると聞きました。今後、さらに多くの企業や機関で事業の効率化が進むと考えられ、アテナさんが手掛けている事業はさらに必要とされるはずです。当社でも、必要だと判断すれば、発送業務以外の分野でもパートナーになれるかもしれません。簡単には落ちませんが、どんどん営業に来てください（笑）。

今後も当社は、より質の高いサービスを目指し、さらなる努力でサービスを提供していきます。同様にアテナさんにもより一層、質の向上に努めていただき、強い連携のもとで邁進していただくことを期待しています。